|
皆さん、機体の出来具合は如何でしょうか。先月は、操縦座席を取付け、風防の工作を始め一応全体を組立て軽く下塗を終えたわけですが、エンジン・ナセルや、主・尾翼の上半角度、それに風防と機体の継目などラッカー・パテが乾きますと、細い溝が出来るものですから充分点検して下さい。 異常なければ着色が出来るように小さな凹部などに注意を払い、更に2~3回ラッカー・サフエサーを塗ります。さて、以上の機体の整備を行いながら、プロペラを作りましょう。
プロペラの製作
もう第1図だけでお判りの事と思いますが、砲弾型のスピンナーなれば簡単ですが、この式のスピンナーで由転させるには、どうしてもこの式になります。何分小さな工作で技術を要しますが、ブリキ板か真鍮板を用いて組立てます。
|
ラジオ・ペンチかヤットコさえあれば工具は大丈夫で、半田付の順序はイ・ロ・ハで示しました。
(イ)の3コをそれぞれ付けた後、虫ピンを通して廻転させスムースに廻れば、(ハ)の金具を半田付し、虫ピンの脱落を防ぎす。これも手早くやりませんと、虫ピンの頭に迄半田がまわり厄介です。異常なければ(ニ)(ホ)と接着してゆき(ホ)の頭の上には半田の玉を付けて丸味を与えます。スピンナーの断面図を参照下されば構造はお判りでしょう。これに油を付けで置けば仲々良く廻転します。 次に(へ)のリングを3個取付角度に注意の上半田付を行います。これは木製のプロペラを差し込む都合上3mm位いの長さにして下さい。 前回はラッカー・パテーでプロペラ超を作りましたが、パテが脱落するとの声もありましたので、木製のぺラを差込む事にしましたが、プロペラの先端は鋏で切落したような特徴ある親で工作も面白いと思います。 材料は「朴」が良いと思います。大体ナイフで削り出し、サンドペーパーで美しく6本均一に写真のぺラのヒネリ工合など、充分注意の上作って下さい。
|
ペラの根元は、(へ)のリングより少々太い目に作り堅く差込むことです。これでサブェサーを塗り、機体と同じく水ペーパーで仕上着色致します。それからエンジンですが、例によって例のごとく、14気筒星型ですから、前面の7気筒を大変おそまつですが図に示したようなものでガマンしました。もっとも凝らねば気の済ぬ方は指先の許す限り、立派なものを作り装着して下さい。厚目のブリキ板に手頃な銅線を巻付けますが、エンジン・ナセルに取付けますと、スピンナーを通して外部から見える部分は、ホンの僅かな隙間しかありませんから、この銅線を巻付けた気筒でも、黒く塗って取付けますと充分満足ゆくと思います。
|

|
脚の工作
次は、降着装置たる脚を第2図に示しましたので参照して下さい。 私の作りました1!即の“センチネル”では、前輪の直径が8mm、主輪は18mmでしたが、前輪はちょっと半端な寸法なので市販されてなく、従って自作し、主輪の方も20mmのものをヤスリをかけ、減らして用いました。 先ず主輪の方から申しますが、この位いの大きさになりますと、アルミニウム製のリブが付いておりますが、これはUコン機の尾輪などに用いるためか、(イ)図のように中心部分で相当出ており、この儘取付けたのでは実感をそこねますので、ヤスリかグラインダーで適当に削り落しましょう。この場合勿論ゴムタイヤよりリブを取りはずして工作します。
次に(ロ)の如く、ドリルで(3mm位)若干穴を開けますが、(ハ)のように車輪の脱落を防ぐためのものです。(ハ)の半田の玉と書いた部分は、初め小さい丸いブリキを半田付しておりましたが、タイヤを廻転しながら半田だけを付けましても充分用が足りる事を発見しました。 そして外側は画用紙のような紙に、黒インクなどでリムを画き、機体の仕上げの折に接着剤で貼り付けましょう。
|
それから脚柱は、又特徴ある構造を持っておりますが、これに用いる針金の太さなどにも留意の上組立てましょう。オレオも相当変った形をしていますが、図に示したような金具を半田付致しました。 次に前輪ですが、先に述た通り市販品がないようですから、木で作りますが、適当な木片に心棒の穴を先に開けてから、ペーパーなどで仕上げて着色します。そして主輪よりやや複雑ですが、図のように作った後はめ込んで外よりブリキの円板を当て半田で取付けます。 この場合、前脚と共に開くドアは脚の根元に近い所に半田付しておきましょう。これには色を塗って機体の番号でも記入すると良いでしょう。主輪カバーは図のように作り、機体に差込むための虫ピンを突刺す長さを考えて半田付して置きます。
|

|
又、この“センチネル”には尾輪もついておりますが、紙面の都合で3回に書いてありますから、参照の上工作して下さい。 さて、愈々ここから再び機体に手を加える段階と成りますが、サフェーサーは充分美しく塗られてある事と思います。 そこで、脚口を彫り込ますが、2~3mm程度の深さでよいでしょう。 次に第3図に示したエンジン上部にある排気口を右・左2個ずつ彫ります。この場合カウル・フラップを貼り付ける部分の真申くらい迄彫りま す。 ここでついでに申しますが、カウル・フラップは紙を着色して、1枚1枚貼付けて実感を出しますが、単に溝だけを彫ったものより数段引立ちましょう。但し、ここではカウル・アラップの紙の厚さだけ、極く僅か彫っておきます。その他尾翼下胴体の排気口を美しく仕上ておきましょう。
|

|
着色
この着色も米海軍新塗装のもの、それに機首前面の光線反射防止塗装の他、座席頭部から背部迄、機体と塗り分けたものもありますが、私は旧塗装たる濃紺色の力が全体を一色で済みますし、重量感も加わるように見えますので、いわゆるネイビー・ブルーを塗りました。 この塗装は、前に一皮F4U “コルセアー”の時に(本年1月号84頁)詳細に述べてありますので、紙面の都合上大要のみを、記したいと思います。 先ず、黒・自・青のラッカー3色を用意し、全体の割合をこの誌上で述る事は仲々ムズカしいのですが、大体の参考として各自御研究下さい。黒を7.5割、白を2割、青0.5割程度と思います。 配合する場合、別の容許に最初黒を入れ、それに白を加えて濃いネズミ色を作り、最後に青を小量ずつ加えながら調合致します。一皮で希望する色が求められれば問題ありませんが、全体が薄いようであれば黒を、真黒に近ければ白、ネズミ色のようであれば青をそれぞれ加えていきます。 最初1機分調合する心算なれば半機分?を、と云う具合に控え目にしませんと、次々に加えるため10機分?位に増えて困るものです。……御注意あれ! 調合が済みましたら全体を平均に何回も塗り重ねてまいります。風防の部分にはテープを貼ってありますので、遠慮なく塗れるわけですから、筆を進行方向に対して縦、横と運びましょう。そして3~4回塗りましたら、一昼夜位乾燥させ、320番位の水ペーパーを、筆の跡を取る意味でかけます(水ペーパーは塗料店 に有り、使用法は水を付けながら機体を研きます)。これで、サフェーサーが見える部分も出て来る事でしょう、さらに3~4回塗り重ねて乾かし、又表面をペーパーで平にし、全体のフラップや舵面の筋彫を行います。 筋彫は、すでに経験のつまれた事でしょうが、よく切れるナイフの刃先で美しく彫ります。機体に直接行うのと異なり、木目がラッカーのために見えませんから、往タにして刃先が横にすべったりします。それ等に細心の注意を払いながら、深さや筋の幅など(フラップの筋は極く細く、舵面は少々太い目に)も考慮してやりましょう。 尚この“センチネル”に於ては艦に格納する関係上、折畳翼となってますが、面白い事に右翼が前に、左翼が後と云う具合に交互に畳まれる事になってますので、従って折畳部分の筋も左・右異るわけですから、御留意されますように。 以上の、筋彫が終りましたら、再び塗装ですが、今度のは最終の仕上げ塗りを行うので、皆さんもいささか緊張される事でしょう。 さて、今迄使用したラッカーにシンナーを加えて薄い目にしましょう。これは筆で塗るために筆の跡がつきますが、これを少しでも目立ないようにするために行います。最近のように曇天が続く場合は、リターダー・シンナーを求めて使用しますと、塗装表面が膜を張ったように曇るのが防げます。 普通の場合でも、シンナーに1/3位、このリターダー・シンナーを混ぜて使用すると、艶が加わるそうで御使用下さい(値段は普通シンナーの倍額程度)。 さて、ラッカーを軽く2~3回塗りまして塗装は終了です。筋彫部にラッカーが埋らぬよう注意が必要です。そして約1時間位乾しましたら機体のジュラルミン接合部を表わすためにナイフの先で筋目を付けます。これも今迄に解説してないうましたが、実物感が増しますのでおすすめ致します。 主翼の主桁や胴体の接合部など、本機の場合、解剖図などの資料がなかったので他の双発機を参考にして想像で付けました。ただ、あまり細かい処迄やりますと賑やか過ぎて鼻につきますから、ホドホドになさるように。又この筋に添ってリベットを打って良いでしょう。 以上で、其の儘一昼夜以上乾燥させます。次は、コンパウンドで研磨します。今迄数回述べてありますので、本誌の9月号81頁を参照下さい。くれぐれも磨き過ぎて、下塗を出きぬように注意が必要です。 筋彫に詰ったコンパウンドは見苦しいものですから、出来得る限りきれいに取り去りましょう。接合部のナイフの後に茶色に詰ったコンパウンドは、はっきりと目立って感じが長いのでその儘にします。
|
|
| 大町氏のアルバムより
|
文字及びマーク
良質の毛の抜けない細筆を用います。先ずネイビー・ブル一に塗った場合、星と左・右の袖だけを記入しますが、図面に正確なマークを書きトレーシング・ペーパーのような紙を当て、丁寧に写し取り、それを記入する部分に当て、それぞれに針で印を付けて置き、その印をナイフの先で軽く結びます。 自ラッカーに、リターダー・シンナーを加え(このシンナーは乾燥が遅いので、普通のシンナーより書やすいと息います)、最初から全体を塗りつぶさずに、縁だけを外へ侵出せぬよう形振りをやり、又一度に塗るより、薄いラッカーを2~3回重ねる方が美しく仕上ります。星を書いた後、上・下にラッカーテープで袖の部分をはさみ、中を塗りつぶしましてマークほ終りです。 記号や数字も実物に記入してあるものより大きくとも小さくとも全々感が異って見えますから、位置なども呉れぐれも注意を払いましょう。 機首の左・右の掛こ機体番号を、右翼上にNAVY、左翼下にもじ同く、垂直尾翼にはSRと記入しました。それから操縦者窓のすぐ後に、プロペラ危険との縦に赤線1本、これはプロペラの真横にテープで記入しましょう。その真申辺に白で横に線があり、写真で見ますと白線の中にDANGER(危険)と書いてあります。 これらもあまりに小さい文字ですから、黒で点々と付けときます。尚本機に限らず米軍機には、機体取扱に関する注意が至る所に書入れてあり、写真で見ましても目を引きますが、これ等も一寸真似てチョポチュポと白ラッカーで入れますと又面白く成ってまいります。 これも記入するのでしたら、テープで上・下を押えて巾を1mm以下にして、機首側面、胴体後部に適当に入れます。 これでホトンド出来上りました。ここ等でユニコン液を軟かなビロードの様な布につけ、研いて下さい。見違える様に美しく成りましょう。
仕上げ
いよいよ最後の工事です。 ★ 先ずカウルフラップの取付けです。不要な写真の裏に機体と同じラッカーを塗り乾いた後(第3図)に示した如く切って接着します。 ★ 車輪の取付は、彫った脚口に図のように虫ピンを枚に突さし、2本でグラグラするようでしたら1、2本追加し、半田付します。 ★ 車輪カバーは、主輪は第2図に示したものを、それぞれ機体にさし込みましょう。 ★ 爆弾架は、木で作り接着剤で接着しますと、接着剤が横からハミ出したり、色々面倒が多いので、図のようにブリキ板で作りました。細長い板を2つ折にして、翼が厚いので虫ピンを差込み、それに半田付して色を塗ります。 ★ 尾輪も図の如く虫ピンで止めます。 ★ 第4図にはアンテナの張り方を示しました。アンテナ柱は変った恰好をしておりますが図の様に工作して下さい。細いエナメル緑を探して用いて下さい。
|

|
★ 尾部にはガマの穂のようなアンテナがあります。これは単にはめ込むだけです。 ★ 翼端のサーチライトには画鋲を1コ押して作りました。ビニール製のカバーを接着してOKです。 ★ 風防に貼付けてあるテープの承り方は、窓の形にそうてナイフで一応塗料を離し、はがしませんと細い枠に付いているラッカーが、ビニールより離れ去りますので注意して下さい。 (完)
|
|
|
出典
(株)文林堂 航空ファン 1956年12月号 P74~P93
脚注
追記
大町氏のアルバムには、“トラッカー”の写真とイラストが描かれています。
|
|
| S2Fのカリカチュア
|
|
| タイトルに使用している写真(アルバムより)
|