ソリッド工作室 カットラスの作り方(4)

出典:SOLID MODEL NET
移動: 案内, 検索


Making Cutlass 41.jpg

 先月迄に、脚の工作及座席風防の取付け、そしてラッカー・サフェサーに依る下塗塗装を終えましたが、いよいよ今月で完成ましよう。
 さて第1、2回と解説してまいりました部分は作業の順序など大して気にも止める必要もありませんでしたが、今後の作業の順位はソリッドモデルを作る上に充分注意する必要がありますので、初歩の方は、間違いなく工作を進めて下さい。そこで今後行う作業の順位を記しますので留意下さい。
 (イ) 着色(ペーパーで研く)
 (ロ) 筋彫
 (ハ) 着色(仕上)
 (ニ) 筋目(付け外板の継目)
 (ホ) コンパウンド研磨
 (ヘ) 文字・マーク
 (ト) 脚取付け及び外部肢装
 (チ) ユニコン仕上
 大体以上のような工合ですが、イ、ロ、ハ順に追って解説してまいりましよう。

着色準備

 さて、着色工程に入りますが、カット写真の如く米海軍の新塗装色を施しました。この“カットラス”には試作型には、いわゆるネイヴーブルーを塗装したのや、写真などによりますと無塗装の機体も二、三見ましたが、現在はほとんど下面が白色で、上面全体が灰色に塗られてあるようです。過日米海軍記念日にヨークタウソが入港し公開されたのですが、残念ながら私は見に行けず、従ってどの程度の灰色(薄いネズミ色)か判らずお伝え出来ませんが、極く薄いネズミ色だとの事ですので、適当に配色なさって下さい。
 下面に塗る白色は問題ないとしまして、別の唯に適量の白ラッカーを取り、それに黒を筆先に少量宛つけ乍ら白色によく捉ぜ合せ灰色に調合しますが、黒を先に多く入れ過ぎるといくら白ラッカーを入れても薄い灰色が出来ませんから、ちょっとした事ですが注意が必要です。
 罐の中での色や、電燈の光の下での配合は昼間見た折と全く異った色に見える事がありますから、別に不要な既にでも大きく一応塗って見た上で決定致します。
 いよいよ良質の筆で塗りますが、機体の凹凸を充分注意して再度検査します。垂直尾翼の先端も、角を打ちつけて九味をおぴるのを防ぐために2、3ミリ長く工作してありましたが、それ等も正常な寸法に致します。又、風防の透明全体には紙の絆創膏でラッカーテープでカバーする事も忘れないで下さい。

(イ)着色塗装

 発ず、太目の筆で、下面の白色より塗装致します。これは下塗に白色のラッカーサフェサーを使用してありますと非常に楽です。仕上のコンパウンド研磨の折、他の色のサフェサーでしたら磨き過ぎた折など厄介
ですから……。
 機体下面全体を平均に2回から4回位い塗りましよう。翼は飛行方向に一回塗りますと、次回は翼付根から翼端へ筆を運び、次は飛行方向へと云う具合に重ねて塗りましよう。
尚、御注意申上げたい事は、このような白色系統はちょっとした汚点がつきましても、その上を色で塗りつぶそうと思いましても、仲々消えませんから、事前に手を清潔に致しましょう。
 他にこの“カッラトス”に限らず、胴体と翼の付根、及び本機の場合翼と垂直尾翼との接合部は、サフェサーや色を塗り重ねて行くに従い、翼が小さなフィレットをつけた如く丸味を帯びますから、充分塗料が乾いた後、その部分は必ずヤスリを利用して丸味を落しましょう。其の他本職には小さな突出部がありますが、これ等の部分もナイフの先などでつまった色などをきれいに掃除する事もお忘れなきように。
 さて、次に機体上面に取りかかりますが、空気吸入口上面の20mm機銃の穴を開けキリの先で),調合剤の灰色を下面の塗装法と同じく 3~4回塗り乾装させます。
 この上面での注意は、風防が取付け済ですから透明部に色を付けぬようにする事で、枠と透明部を二重にしてありますので、絆創膏をピッタリと貼りつけて置くと安心でしよう。それでビニール製の風防は薄いラッカーを何度もべタべタ塗りますと、溶けて変形し苦心も水の泡となりますので、適当に扱いものを2~3回塗ります。尚、下面の白色との境目は、充分写真などから決定しましょう。
 以上、上下の塗装が終りましたから、400番以上の細かい水ペーパーで全体の研磨作業です。洗面器のようなものに水を少々入れ、ハガキ大位に切った水ペーパー(塗料店に有)に水をつけながら筆の跡を取り去ります。この折、石鹸を少々用いると気持よく滑らかに仕上る様です。
 又、水ペーパーで研きますと、丸味を持った所などはどうしても研きすぎて、下地のサフェーサーが顔を出しますから、充分注意を払うと同時に、下地が見えた場合は塗り直して下さい。
 それから翼の後縁は色を重ねて塗ったので、どうしても厚味がつきますから、ここも適当に水ペーパーをかけ後縁を鋭くする事です。どうもこのような処が玩具に似たソリッドか実物感に溢れたものに仕上るかのポイントであるように思われます。
 しかし、後縁も本体が現れる位い水ペーパーを用いる事は禁物で、水がしみ込んでふくれますから、要注意です。今後、筋彫の後、仕上塗を行いコンパウンドを用いますので、全体の塗装が薄いように思われる場合、今1、2度塗ります。

(ロ)筋彫作業

 筋彫とは、機体に対して可動する部分を示す境界線なのですが、これも馴れぬ内は仲々ムツカシイ作業の一つです。
 手馴れた切出ナイフを良く研いで用意し、機体の材質もその度ごとに異なる事と思いますから、最初は、目立たない機体下面より筋彫し、ナイフの当り具合を覚えます。翼などは往々にして右、左の筋彫の寸法を間違える事かありますので、筋彫の寸法は注意が必要です。
 深さや巾は一定にする事も大切ですが、とくに巾は不揃では見苦しいものですから注意を払い、ホッソリと彫つで下さい。1mm巾の筋彫を行っても、実物に換算した場合1/50なれば5cmもの掠間に成りますから大変です。
 筋彫の方法は最初直角に刃を入れ、定規でも当がいながら切込を入れ、次に刃を斜にして直角に入れた根元を狙うと、上手く筋彫が出来ましょう。垂直尾翼が2枚もあり、可動部が複雑ですから、根気よくやって下さい。このような作業は回を重ねるに従いコツと云うものを覚えるものですからドシドシ生産して下さい。
 それから次に今彫った部分を万年筆の頚かそれに似たような丸いもので、押えて行きます。これはナイフが片刃ですから、僅かながら、どちらか筋の一方が小さな土手のように凸出しているハズなのです。水ペーパーに水をつけないもので磨いてもよいと思いますが、この儘コンパウンドを用いて磨くと、必らず筋にそって下塗サフェサーが現れますので、忘れずに行って下さい。

(ハ)仕上塗装

 さて、いよいよ最終塗装です。吹付器(エアー・コンプレッサー)でもあれば申し分ないのですが、とても望めぬ事ですから、機械の仕上りに近いように努力致しましょう。
 この段階の塗装は今筋彫した部分に着色する事も兼ねまして、筋彫の部分は木肌が出ますので、全体を軽く塗ると同時に、彫った部分をも着色致します。
 前回に使用したラッカーにシンナーを加え幾分薄くしたものをやはり下面より約2回位塗りますが、塗料で筋彫を埋めぬよう注意する事は云う迄もありません。乾いた後上面の灰色を塗りますが、上下の境目は丁寧に塗って左右不揃にならぬように留意して下さい。
 又、全体に刷毛目が付かぬように気を付けて下さい。後のコンパウンドの作業が楽になりますので……。
 とに角、出来る限りラッカーにシンナーを加え薄くしたものを2回位いサーッ!と塗る事で、薄くする程刷毛目が目立たなくなるわけです。

(ニ)筋目リベット打

 筋目付とは、筋彫に対して単に実機のジュラルミン外板の継目を現わすためにナイフの先で筋を付ける事なのですが、前例の無い事なので私が勝手に付けた言葉です。

Making Cutlass 43.jpg
 (ハ)の項迄でほとんど“カットラス”の形態は有していますが、筋目など入れるとゴチャゴチャと複雑な感じがする……と云われる方はコンパウンドで研磨しユニコンで仕上りなのですが、今迄の経険からこの筋目をつけると数段と実物感が増しますので、初めての方は是非試して御覧下さい。
 用意するものは、筋目をつける普通のナイフに、先の適当なキリを用いますが、リベットを打つキリの選択が大切で、虫ピンなどの先よりも多少太く、小間物店へ行きますと、柄のついた洋裁に使うキリを売っています。
 さて最初はかなり、ムヅカシイのですが、すぐに馴れると思います。仕上塗が終って約10 分~20分した頃、まだ強く触れると指紋が付つきますが、その時分にやわらかな布の上に置き、図面より筋目の位置を決め、定規を軽を当てがい、ナイフで筋をつけて行きます。あまり深くなく、又浅くなく、これらもこの誌上ではとても表現出来ませんから、実地より経験して下さい。
 最初は図面に書かれてある程度で(本誌29年11月号折込カットラス5両図)よいと思いますが、経験されるに従い詳細な写真とか解剖図などから適当に行います。胴体などのような丸い断面のものはテープを巻付けて、それに沿って筋を付けると良いでしょう。小さな点検ロや給油口なども忘れずに……。
 尚この筋を付ける場合塗料が充分乾いた後ではナイフで付けた節の跡がほとんど目立ちませんから、塗装後10~20分後に行います。この時分にやりますと、塗装面が筋を付けた部分を境にして僅かながら萎縮しますので、先の細いナイフで付けても乾いた後でハッキリと目立つようになります(第1図)を参照下さい。
リベットの大きさ及び間隔に気を配り、根気よく行います。この“カットラス!”1/50場合のですと、リベットを打っだけで3~4時間かかるものと思いますから、短気な人には向かぬ作業ですね。

(ホ)コンパウンド研磨

 コンパウンドに関して専門的知識は全くありませんが、本品の説明書には“ラッカーの塗装面を研磨し鏡の如く光沢を出す云々”とありますが、光沢そのものは新しいラッカーと天候の良い折に塗りますと艶も出て申し分ないのですが、ここでコンパウンドを用うる主目的は、僅かに残っている刷毛日を耽り去る事にあります。
 使用法は“柔い布にテンパウソドをつけ、強く研磨して後軽く磨き艶を出し、別の布地できれいに拭取り仕上る”とあります。
 さて、この研磨剤の中には極く細かな砂のようなものが混入されてあり、多く付けて強く研きますと、着色面が禿げてサブエーサーが顔を出し、大変な事になりますから、コンパウンドを用いる折は充分注意する必要があります。
 それで先ず、指先に少量つけて、それを研磨する表面に薄く延し、布で軽く磨きます。そして一応コンパウンドを拭去りこ別の柔かな布で強く磨きます。平均に磨く事が大切な点で、翼の前後縁や小さな凸起物などはどうしても力が加わり、禿げるので馴れぬ間は苦心すのものです。
 リベットや筋目には茶色のコンパウンドが詰りますが、これはかえってそのものが目立って実感的に良いと云いますが、筋彫の部分に入っては何もなりませんから、きれいに取り去ります。
 切角リベットや筋目を付けて来たのですから、磨き過て禿が出来、全体を塗り直す……と云うような事になりますと泣きたくなりますから、細心の注意を払い磨きます。これで顔を近付けますと、目の玉が写る位いに光沢が出ます。これで愈々マークの記入の工程へ進みます。

(へ)マークの記入

 第2図を参照下さい。今迄に色々とやって見ましたが、この順序が最も書きやすいように思います。図の矢印に従って書いて行くわけですが、烏ロコンパスを用いて、先ず円を画き入れますが勿論色は青です。
 このラッカーも適当にシンナーを加えませんと、求めた儘では濃くてとても書けません。
 次に(ロ)のマークの袖の部分を書入れますが、図の如くラッカーテープで上下を押えて用います。そして両端にナイフで筋目をつけてその内側を白で塗りつぶします。(白は隅々迄塗らずともよい)
 そして乾いた後,ナイフで青の枠だけの巾に筋目を入れ、ラッカーテープを充分押えてテープの下にラッカーの流入を防ぎ、小筆にて枠の青を記入します。(尚ラッカー・テープにホコリが附着すると真直な線が引かれませんから注意します)
 (ニ)次にテープを取去り、円内に白を塗り、充分乾いた後、エンピツで大体の星を記入しナイフで筋を付け、青で星の外を塗りつぶし、(ホ)の赤線を書入れて完了です。
 日本のマークなれば至極簡単なのですが、アメリカのマークはムヅカしく、数倍の時間がかかります。又NAVYの文字は、やはりテープを用い、上下を押えただけで書きますが馴れれば大して苦労もせずに、美しく書けるようになります。
 又、数字とか小さな文字には私も苦心しておりますが、ラッカーの濃度さえ適当であれば、何とか見られる程度に書けるのじゃないかと思います。やはりこの作業もせいぜいトレーニングなさる事です。

Making Cutlass 44.jpg

(ト)脚取付及艤装

 先ず、脚の取付より着工しますが、本誌6月号の第1回目で説明申し上げた脚を機体に固定するわけですが、虫ピンを 2~3本脚柱の根の所に突刺しそれに半田付する簡単な作業です。
 一応首脚を軽く半田付して本機特有の着陸姿勢を検討します。机の上に置いて機首の高さと尻(機尾)の高さを図面のそれと一致するか計りそれぞれ修正します。又、左右の翼端と地上との差も一緒でなければなりませんから、注意を忘れずに。そして脚の高さが決定しましたら、ガッチリと半田づけします。脚カバーは首脚の方は図のみで分かると思いますが、主脚の方は本誌7月号で解説申上げたカバーとビニール用接着剤にて接着しますが、接着剤を多く用いますと、ビニール製のカバーが変形する恐れがありますので少量にとどめます。
 これで脚周辺は終り、エアブレーキを接着剤で接着し、(ブレーキは金属製ですが、手で触れませんので大丈夫です)左、右翼端の突起物?及び機銃四挺、機首のピトー管、機尾の燃料廃出パイプ、翼下の爆弾架、そして第1図に示した赤白に塗り分けた着艦フック、風防前方のアンテナらしきものを取つけ、それに先月作った排気口を差込んで終りです。

Making Cutlass 45.jpg
Making Cutlass 46.jpg

(チ)ユニコン研磨

 このユニコン研磨は、前項の艤装前に一回行った方が良いと思いますが、この白い液をビロードのような柔らかな布に少量つけて、力を加えて磨きますと、実によく光沢が出て来ます。完成後も時折ユニコンで磨いてやりますと、いつまでも新品同様に光る事でしよう。やつと “カツトラス”の完成です。皆さんの目を楽しませて呉れるものと思います。「超音クラブ」に於て、又直接お便りを戴いた方々に誌上を通じて厚く御礼申し上げて、この稿を終えます。


Making Cutlass 42.jpg
次の章「作り方(3)」へ戻る 

出典

(株)文林堂 航空ファン 1956年9月号 P78~P82

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ツールボックス