ソリッドの頁 グラマンS2F-1“センチネル”の作り方(1)

提供: SOLID MODEL NET


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前がき

 皆さん。其の後も製作に励んでいられる事と思います。今月は、プロペラ付双発機グラマンS2F-1“センチネル[1]”対潜艦上哨戒機を取上げて見ました。
 あらためてじっくりと各部を眺めて見ますと、「グラマン」特有の寸の詰った、ズングリした愛嬌のある姿に見えてまいりますから、不思議です。
 我々ソリッド・モデルマニヤに取りましては、デリケートな形態を有する機体に取組む程、作り甲斐を覚えるものです。本機は全体から見まして操縦席の風防附近、エンジン・ナセル部分の他、大して構造上初歩の方でも、困難とは思えませんので稿を進めたいと考えます。
 先ず資料を集めねばなりませんが大して良い図面も出ておりません。私は1/50で作りましたが、側面図は2.5倍、平面図は4.5倍に延します[2]。この機体には1、2型と二種に大別され、若干外型上異ってるようですが、私は前者の1型を作り、従って1型を元に記事を進めます。

胴体附近の工作

 先ず、用意します主材は、檜[3]を用いますが、朴、桂など容易に入手出来得るもので結構です。
 『胴体』から始めますが、第1図を参照下さい。例によって例の如く、先ず側面を型紙より削り出します。この場合背部の線に御注意下さい。機首より2/3位の所で、若干ふくらんだような線に成っております。又機首の丸味なども、自分で製図した図面は誤り勝ですから、写真と充分比較されますように。
 そして、翼の差込口を彫りましよう。穴彫も困難な作業ですが、約1cm位彫ります(イ)。
 次に(ロ)の如く、平面を削り出します。しかし資料の中には断面図がありませんので、各角度の写真の影などより推測しペーパーで仕上げて行きます。これも馴れてまいりますと写真の影だけで大体の形は得られるものですが、失敗しますと胴体側面に記入した文字、マークの角度が写真と比較した場合、異って見え、気になりますので御注意が必要です。

 そしてこの機体は前にも記した通り、非常に首が短かく、従って主輪の位置等の関係から、尾翼の異常なまでの大きさも手伝って、重心が相当後にかかり、首輪を地上へつけるため、大手術を施さわはなりません。

 方法は、第一に操縦席の床下に鉛(模型屋に有)を流し込んでやります。(イ)の点線から首脚口の穴の深さを考慮に入れて、切断し(ハ)の側面の板を接着した後、火で熔した鉛を放し込みます。シートを取付けるので床の高さを考えに入れると、大して入れられませんので、今度は胴体後半をくり抜く作業を行います。これも大変な工作ですが、双発機などは銃座が多く、内部をくり抜かね事には実感が出ませんので、トレーニングの意味で彫りましよう。
 主翼のすぐ後より鋸で切った後、木目に気をつけて縦に割ります(鋸は使用せぬ事)。少々横に歪んでも、又元の所に接着しますので構わぬわけです。1分か2分位いのノミを使用すると、案外楽に彫れます。そしてこの折に、胴体下部に有る、レーダー・ドームの穴を(直径約19mm)きれいにあけましよう。
 これで随分軽くなった事と思います。接着剤をタップリ塗付し、充分乾かし、継目はラッカーパテーで消ししましょう。
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風防の取付

 さて、私は次に座席を取付け、風防も接着しました。この型式の機体では、主翼、尾翼を取付けた後では工作がしにくいと感じたからです。然し本機の座席内部の資料が皆無ですので、ハンドル式の操縦桿に適当な計器パネル、シートを装着しました。
 皆様からもお問合せがありますが大体1/50位になりますと、計器パネルも本機では25mm位(単発機のそれに於ては13mm前後)ですから、大して神経質になる必要はないと恩います。ましてや風防も無開閉ですし、ビニール風防が一寸でも曇りますと手を加えても労がなく、それですからお手持の双発機の座席をお作りになればよいと思います。
 さて、風防を塡込む溝を彫って、風防の雄型を作ります(本誌3月83頁、8月66真に解説有)。この風防の型は、水滴型のそれよりも、充分注意を払いませんと、ピッタリと合いませんから、前後の幅、背部の丸味、前窓の左右の角度などに留意します。さてこの同じ雄型で0.3mm程度のものと、0.15mm位いの厚さの二個プレスします。
 今年のソリッド界では二重風防が流行りつつあり、そこで早速取入れましたが、仲々良いのでお試し下さい。

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 第2図でお判りかと思いますが、厚い方のものは今迄通りですが、薄い方のものを透明部(雄型は同じもので良い)分のみ切抜きます。薄いビニール板ですので、簡単にナイフで切抜く事が出来ますが、最初はどうも失敗しやすいので、一個位余分に作つときますと良いでしょう。
 それから、座席頭部に開いてるのは、乗員脱出口でスライド式のドアらしいのですが、閉じた場合は苦心の座席内部が見えませんし、開いた場合として切抜くと埃りが入って面白くないと考えましたので、窓と同じく透明部としました。
 一応薄い方の切抜が終りましたら厚い方へ重ねますが、ビニール用接着剤で透明部に付かぬよう細心の注意を払って貼り合せます。接着剤が透明部へはみ出ますと、シンナーで拭い取ろうとしても、益々曇りますので、御記憶下さい。
 胴体へ取付ける場合も、仲々技術を要しますが、風防の厚味だけ胴体を彫り込んで、ビニール用接着剤で接着します。胴体の曲線を気に済むまで充分合致させる事が大切です。
 以上の工事が終りましたならば、今後の工作で透明部にキズが付かぬよう、ラッカー・テープを透明部に貼付け、良く切れる刃物で、余分なテープを取り去ります。完成迄ラッカーなどを塗りますので、浸み込まぬよう、端々を充分覆います。次に風防取付部(風防と胴体)の隙間がありましたら、パテで埋めます。

エンジン附近の工作

 『エンジン部』の製作に進行しますが、カウル・フラップまでが真円でそれから主翼前縁迄に角型になっていますので、少々厄介です。

 又、ナセルの後端には、ソノブイとか云う音響探知器を投下する穴がありますが、ここは15mm程切断し第3図のごとく、ブリキ片を合せて曲げ、内側に虫ピンを2本深く突差し、それに半田付して奥深い感じを出しました。

 主翼の作り方は直線翼で簡単なので略しましたが、胴体の主翼差込口にピッタリと接着し、それから寸法を計りエンジン取付位置を決めましよう。この場合も 2~3mm左・右の取付寸法が違いましても、ブロぺラを取付け回転させた場合、プロぺラ先端と胴体の間隔の不揃となって現れ、非常に気になりますから、充分御注意になることです。エンジンを装着する穴は、先端より10mm位いの所で切断し、ドーナツ型に穴をあけ、元の個所へ接着すると簡単です(本誌3月号 81頁参照)。

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サーチライトの取付

『サーチライト』、次に右翼中間にあるサーチライトら、至極簡単、第4図でお作り下さい。
 先ず図に合せて
(イ)のごとく作りますが、この折、やはり全面のガラス部分は透明の力が実物感が増しますので、この型をその儘雄型として利用し、細長いビニール板を瘍の中で引っ張り(ピンなどを用いる迄もない)、作ります。
 次は(ロ)のごとく翼に嵌込むように削り、図の点線の部分より切り1落します。そして(ハ)のように翼に接着し隙間などはパテで埋め、きれいに整形します。そして全体の塗装も終り最後に画鋲を止め、電球の感じを出し、先に加工したキャップをビニール用接着剤で接着します。

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下塗塗装

 次は、一応全体をラッカー・サフェサーで塗りましよう。2~3回軽く塗れば良いと思います。
 乾いた後、第5図に示した、吸排気口、磁探アンテナを挿入する穴、水平尾翼下の凸出物などを取付けます。但しレーダー・ドームだけは、別に仕上げて最後に取付けますd
 又、毎回申上げる通り、前後より機体がねじれてないか、左・右のエンジン・ナセルの迎角など、細心の注意で点検なさって下さい。
 以上で機体は塗装を待つばかりです。サフェサーを1~2度塗り水ペーパーで凹凸をなくして下さい。
(以下次号)

S2F-1の寸法


 全 幅 21.24 メートル
 全 長 12.88  〃
 全 高  4.96  〃
 尾翼幅  6.84  〃

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大町氏のアルバムより
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出典

(株)文林堂 航空ファン 1956年11月号 P94~P96

脚注

  1. ピエロ氏が、トラッカーをセンチネルと呼んでいる理由は、不明。
  2. この図面は、何を使っているのかは、不明ですが、拡大の具体的な比率が出ているのが不思議である。
  3. 檜での作例は、この当時のソリッドモデルに多数見られるようである。全体としては、朴が主流である。


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