初級ソリッド製作講座 F-100A

提供: SOLID MODEL NET


F100 Solid Title.jpg
 ソリッド・ファンの皆様,貴製作工場の作業状況は如何でしょうか?……私は去年の初め「紙製ソリッド・モデル」の製作と題して誌面を穢した者ですが,其の後考える処が有り[1],木製のソリッド,つまり木を削り始めました。処で紙を鋏でチョキチョキやってた頃は,木製を、難かしいものであると一人合点してたのですが,いざ木製に転向してみますと実に紙製のそれよりも工作容易であるという事を発見しました。
 極瑞に申すならば鉛筆を削れる人なれは,ソリッドに理解があり製作欲のある方なれば誰方でも完成させる事が出来ると私は確信致します。尤も第一号機から,模型展へ発表出来る様な検体を作ろうと思うのはチョイトばかり心臓がお強いのじゃないかと思います。処女作を翼の付いた掘りたての泥芋の如きもので満足されるのであれば10号機位いになれば,必ずや満足のゆく製品が皆さんの手で完成する事と確信致します。時間さえかけるならば,切出しナイフ一丁でも出来ます。本誌上にも各氏が製作法を発表されてますが,今回はソリッド・モデルに興味をお持の方,又初歩の方々の参考こぺンを取りました,駄文及拙図で御理解出来るか判りませんが,今回は最近日本上空にも配属され始めた,ノースアメリカソP-100A“スーパー・セーバー”を取り上げて見ました。
 工具及び材料は順を追って申しますが,先ず図面を御用窓下さい。私は「航空情報」誌発売の橋本氏の書れた四面図を求め使用致しました。次に主材の木ですが,市販のソリッド・キッットは朴が使用されてあります,然し私には朴は堅く感じますし,多くの方にほ入手も困難ではないかと思いますので,桧を用います。建具などを製造してる所へ行けば残木を分けて呉れるのじゃないかと思います。良く乾燥した(手に乗せて軽いもの)ふしのない,木目の通ったものを選びます。
F100 Solid Making01.jpg

胴体の工作

 先ず,胴体の工作から入りますが(第1図)を参照の上工作して下さい。最初図面より側面を薄い紙に写し取り切り抜き,(1ミリの誤差も無い様に,この誤差が知らぬ間に次々と拡大され,実物の写頁と作ったソリッドと比較してどこかが異なって見える原因の大部分はこの僅かな誤差から生れます。この図面より1ミリの狂もなく作り上げれば,実物以上?の立派な精度を持ったソリッドが生れます)35mmX36mmにととのえた胴体用の木に鉛筆にて印します。この部分の工脚ま図にも書きました通り,8分~1寸巾のノミを用うると楽に出来ます。次に同じく平面を紙に写し以上の行程をくり返します。

F100 Solid Making02.jpg
 試みに今の胴体を平面,及び側面に当てて誤差の有無を調べて下さい。多分1~2ミリ太いのじゃありませんか? 尤も鉛筆の太さだけでもオーヴァーしたはずですからあ,実際には1~2ミリ図面よりも細くても艮い訳で,後から述べますが,下塗塗料サフェチーを数回も重ねて塗りますし,其の上に着色塗装も行いますので丁度良い訳です。
 さて,次はこれから削り出す訳ですが,このスーパー・セイバーは実に厄介な胴体断面を有してますので,とくに初歩の方は面倒でも画用紙で断面ゲージを作り使用されます様に。工作はノミか鉋で荒削りの後,F号のペーパー(紙)で,機首よりゲージを使用しながら(第2図参照)尾部へと進めます。尚ソリッド製作上,写真は欠くべからざる貴重な資料です。お手持の雑誌の写真を充分御覧の上参考をこなさって下さい。(本誌オ55 集P-1,P-11,54集P-4,5,7,52集P-68)又,キャノピー前面の凸出部及び背部の鰭は後から工作致します。
F100 Solid Making03.jpg
 次に第3図を包覧下さい。座席口,吸気口,噴出口の工作ですが,座席は馴れた方なればノミで掘れば簡単なのですが,我々初心者には仲々底深く,美しく仕上げる事は困難です,そこで図の如く工作法を考えて見ました。鋸で胴切りにした後,2×10ミリの桧棒を求めピッタリした寸法に切りセメダインで接着します。これですと内部スペースが充分有りますので,細部工作に自信のある方は利用されるとより実物感が加味される事でしょう。
 又,機首及び噴出口は表面よりノミで彫った位いでは仲々深く彫れません,そとで刃の薄い録で,機首は3糎切断後,キジ,丸刃の彫刻刀で穴を開けヤスリで仕上ます。噴出口は本機に於いては大して心配はいりませんが他のジェット機に於いては電尾が重く成り筋で機首にオモリでも入れぬ限り,鼻を上にして尻を下げてしまいます。その様な場合面倒でも機体後半をくり抜きます。くり抜くと申しますと大袈裟に聞こえますが細工は至って簡単で,10糎くり抜く場合はその部分より切断し,それをナイフで真っ二つに割り,細いノミや丸彫刀で両方の胴体をくり抜き,その後は両方を接着し所定の場所へ接続すれば工事完了で,ナマリを溶したりするよりも良いのじゃないでしょうか?。
 以上で胴体に関しての荒治療は終りましたが,座席及び機首,尾の接続部をラッカーパテにて整型致します。(ラッカーパテは塗料店に有ります,これを指先にて薄く何回にも分けて塗り付けますが,一度に部厚く塗付しますと表面のみ乾いて中がいつ迄も乾きませんから注意を要します。このパテの利用法を覚えときますと非常に重宝で,機体表面の削り過ぎとか,穴などを大きく彫り過ぎの場合,翼表面の凹凸などに利用致します。求める場合は白色が重宝です。1Kg罐入 300円前後)
F100 Solid Making04.jpg
 以上で一応胴体らしく成りましたが(第4図)に於いては矢印の部分の工作を行います。イ,ロ,ハ,に分けましたが,(イ)の部分は先の桧仮を使用し, (ロ)は残木より(ハ)は3×3の桧棒を求めて(模型店に有)四面図のGの部分迄取付けます。この個所での注意はキャノピー取付部(前と後)の寸法に充分留呂意して下さい。各々はセメダインで接着後整形しますが,巾や厚味に細心の注意を払いませんと,イモ虫の如きF-100が出来ますから御注意を!。
 次に主翼及尾翼(遊動式ですが,破損を考慮に入れ差轟込式に致します)の差込口をナイフと三分厚のノミにて彫ります。大体穴類は小さめに開け除々に寸法に合せて大きく彫って行きましょう。次に,脚口を図の位置まで鋸で切って下さい(座席の要領で)。以上で胴体は終了ですが,本機を始めて手にされる方は異様な胴体の形状に驚かれる事と思います。
F100 Solid Making05.jpg

翼の工作

 工作順は(第5回)にて示しました。本機スーパー・セーバーは異常に太い胴体で,より精悼味を加えてますが,かりに部厚い翼を取付けたとしますと全く鈍重な姿態に変ずる事と思います。ジェット機,特にこの機体には刃物の様に鋭い主翼を装着敦しましょう。
 図面より計って見ますと付根の最大厚が1/50で7mmで,翼端に於いては2mmという短く薄いものです。図の(イ)の如く先ず差込部分として5mm程度長い目に切り,紙型より大体の寸法に切抜ます。その後(ロ)の如く鉋にて寸法の厚さに削ります。大体木工具の内で鉋の使用が我々素人町は最も厄介な仕事なのですが,刃の磨き方も,刃先の出し加減,鉋のかけ方などほ先輩なり其の道の人より見聞して大体の使い方を覚えて置くと便利です。尤もソリッドに於いては鉋で仕上る事は先ず有りませんので,荒削の後はF号ペーパーにて磨きますから,鉋の無い方は根気よくナイフで削っても充分出来ます。
 さて,鉋をかけた後は(ハ) の如くF 号ベーパーiこ薄い板を挟み(板を挟まぬと絶対に平面に仕上げられません)翼後緑がともすると,ペーパーが,かかり過ぎて凸凹に成り涙が出る事が有ります故,ねじれ(翼後緑を後から見るとねじれてる事がよく有ります)と共に細心の注意を払って仕上げて下さい。翼の断面ゲージ迄作る必要はないかも知れませんが,図面の断面形を充分考慮の上(指先にて探って見るとよいでしょう)工作して下さい。図示はしませんが水平尾翼はとくに薄いものです(主翼の1/3?)腕前の見せ所と主翼の要領で製作して下さい。垂直尾翼も同じですが,但し中間に有る尾灯の凸起部は小さな木片を図の如く両脚から挟んで接着し充分乾いた後で,ヤスリで整型して下さい。以上で水平尾翼以外は,くさび(竹ひご)で胴体に接着して下さい。水平尾翼は工作の都合上後から取付けます。(第6図参照)

F100 Solid Making06.jpg
F100 Solid Making07.jpg

風防の製作


 誌上に発表されるソリッドの大部分は透明風防が使用され実物感を増加して居りますが,簡単?な工作ですから是非初めての方でも試みて下さい。大体「パンサー」や「セーバー」の様な水滴形キャノピーは最後に上から乗っけるだけでOKなのですが,キャノピーの前後に凸出部が有る本機ではいささか難物ですが,然し恐れずにプレス?致しましょう。

 まず,(第7図参照)正確に側面を胴体と同じ要領で削り出し,(ロ)の如く断面に注意を払い乍らぺーパーで整形致します。(細かいペーパーがよい)尚,矢印をした部分は,凸出部にピッタリと合う様に寸法を計って下さし。そして使用部分の位置に鉛筆で書入れときます。

 次にプラスチック板又はビール板(0.3ミリ厚)を入手し,型より少々余分に切り型に押ピンで止めます。この場合,型にキリを突刺して柄にし,これを持って湯の中へ入れますが,湯加減?も大事で,ビニール板に於いては湯が沸騰した中でやりますと曇りが出来てきますから,沸騰したら湯を火から降して,成るべく長時間湯の中で手間取らぬ様に手早く作って下さい。
 図の如く,一方をピンで止めてペンチで引っ張りますと,ニュー!とばかり延びますがその延びた個所をピソで止め,次に其の横を引っ張って止め,片側が延びましたら,反対側と云う工合に,型にピッタリと,そして鉛筆で印した使用範囲内にシワが無くなりましたら作業を中止し,ピンを抜いて型をハズシますと出来上りです。シワが出来てなければ使用個所の上に軽くナイフの先で印しそれより2~3ミリ大きく鋏で切り抜いて仕上りです。形が変らぬ様に使用する迄型に嵌込んで置きましょう。

脚部の工作

 ソリッドを愛する人達の中にも,美感派と実感派とに分れてる様ですが,私は後者の実物感をモットーとして居ります。機体を装飾した台の上に乗せて観賞するのも落着いた味のあるものですが,実感を欲する方はやはり細かく工作した脚を装置真し机上に飾りたいものと考えます。車輪は12mm以上なれば,Uコントロール機の尾輪に使用する目的で作られたものが模型星へ行けば容易に入手出来ますが,10mm以下のものは入手困難で.本機スーパー・セイバーの主輪は16mm直径で市販されてますが,前輪は自作致さわはなりません。前輪の工作は(第9図に示しましたが,この方法で念入りにやれば1/50 戦闘機などの尾輪直径2~3mmのものでも作れます参考になさって下さい)
 さて,プジキ鋏と半田付の工作となるのですがソリッド技術の優劣は脚を見れば判る!と申しても過言でないと思いますが,細かく半田付するのは六つかしいものです。換言すれば半田付けさえ上手にこなせば脚は出来上ったも同様です。半田付け半田鏝の温度が適当でありさえすれば誰にでも出来ます。約80W位いの電気鏝を求め,鏝先を磨いて半田がメッキした如く鏝先にきれいに付けばOKです。過熱気味ですと半田が玉に成ってコロコロと逃げ廻り,温度不足ですと接着した様に見えても一寸その物に力が加りますとポロリと落ちます,長い鏝理を選ぶ事が先決問題です。
 脚の材料は真鍮の棒があれば申分有りませんが仲々各種の太さの針金を見つけるのは困雉です,そこで小間物屋でメッキした編棒を見つけて来ましたが,四・五種の太さがありメッキして有りますので半田も良く付き重宝ですのでお伝えします。
 前脚と主脚柱の太さは異りますので適当なもので(第8図)の如く作って下さい。小さな輪は先の細いヤットコかラジオベンチで丸めますが,5~7mmの長さの細長いブリキを最初両端を軽く曲げ,全体をジワジワと上手に締付けて行けば簡単に出来ます。但し各部の継目は前から見て見えぬ個所に揃え,半田付の所はよくヤスリで磨いて,接着する個所にのみ極く少量良質のペーストを付け手早く半田付を行います。脚の形は図面を参照の上機体の特徴を生かせて下さい。
 首,主輪扉は良質の厚紙を二枚貼り合せで作りますが仲々色を塗り下から見ると開いた扉も実物感を添えるものです,丸い穴はキリで,角穴はナイフで開け,外側の紙は少々大きく致します。
 尚,疑問な点や初意見御希望が有りましたらお寄せ下さい,多忙ですので個人的に御返事は出来兼ねますが,まとめて誌上にてお答え致し度いと思います,参考になるアイデアが有りましたらソリッド技術向上の為皆さんも誌上に発表されん事を切望します。 (以下次号[2]

F100 Solid Making08.jpg F100 Solid Making09.jpg

アルバムから

F100 Solid Making10.jpg
モックアップ
F100 Solid Making11.jpg
完成機 背面
F100 Solid Making12.jpg
完成機[3]

脚注

  1. 木製ソリッド転向を強く勧めたのは、高見保市氏(彩雲会)です。
  2. 連載は、1回で終了しています。
  3. この機体は、大町氏のF-100の三号機ですので、記事のものとは、異なっています。


出典

鳳文書林出版販売(株) 『世界の航空機』 1956年9月号 P100~P103

外部リンク

F100(戦闘機)Wikipedia

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ツールボックス