紙製ソリッドモデルの作り方(1)

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出来上がった“鍾馗” 紙製全可動 (大町氏のアルバムより)
 
 当誌[1]模型展に毎号優美なソリッド・モデル写真が掲載され,我々ファンの目を大いに楽しませて呉(く)れますが,自分の机上にもこれらと同じものがあれば……とはファンの誰もが感ずる処でしょうが,残念ながら木工々作に自信のある一部の限られた人達にのみ与えられた楽しみで、一読者である小生もつい最近迄これらのソリッド写真を眺める他はありませんでした。材料を揃え工作にかかるとしても、削り方.組立を云々する前に木工具自体の取扱いに難を覚え、其の都度製作を断念してまいりましたが、子供の切紙細工よりヒントを得て始めたのがこれから述べる「紙製ソリッドモデル」であります。製作を始めて以来10数機と云う乏しい経験ではありますが、木工作に不得手なソリッド・ファンの為に厚顔とは思いますが敢てペンを手にした次第です。

 扨(さて),紙製となりますと第ーの難所が機体曲線部の表現で,第二に湿度の関係で翼表面に変形を来す事などがあげられます。然しこれらの問題は時間を充分にかける事及び縮尺度を小さく取る事により解決され,又紙質の選択も注意が必要であります。反面木製ソリッドでは仲々手数を要する引込脚も紙製に於いては、内部のスペースを大いに利用して極く簡単に装着出来フラップ及び各舵面も可動容易であります。要点として最初は比較的直線で囲まれた機体を選びラッカーパテーを上手く利用する事です。

 今回述べる「キー44」は延70時間費しましたが,図に依り解説致します。本機のスピンナー及車輪は木を用い,脚周辺は金属を使用した他は全紙製であります。

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 製作に当り必要な工具及び材料を詳細に記します。

工  具

◎金切鋏(これは厚紙工作の為と脚部に必要です) ◎ペンチ ◎ヤットコ(先の細いもの) ◎半丸ヤスリ(五本物程度) ◎切出しナイフ ◎キリ ◎ピンセット ◎洗濯ばさみ(数個) ◎半田付道具 ◎ポンチ 

材  料

◎薄い真鍮板又はブリキ(少量) ◎手編用ビニールチュープ(雑貨店店・小間物店に有) ◎前記チューブに挿入可能なる針全 ◎虫ピン ◎ヘアーピン(大小の種類がありますが、バネの強い小を用意する) ◎伴瘡膏(紙のもの) ◎セメダイン ◎ラッカーパテ(これが無いと紙製ソリッドの工作は困雅です。大きな塗料店に行けは少量でも分譲して呉れます) ◎ラッカーサフェサー(塗料店に有)◎セルロイド(厚いもの及び薄いもの) ◎透明プラスチック手長(風房用) ◎最後に主材たる紙ですが、紙質の選択が完成機の優劣を左右すると云っても過言でない程重要で、厚さは0.5mm(煙草のケニス3枚分の厚さ)程度のもので粘着力を有し表面の滑かなるもの、紙を手に持ち繊維の方向に注意し乍ら主翼前縁の心算で曲げ、滑に曲るものが良く画用紙などは駄日です。其の他 煙草,キャラメル等のケースも利用します。以上大要を、述べましたが各項の図を参照の上御解釈下さい。

 今回の「キー44」は,当誌No.35の7月号 62貢にある図を2.08倍約50分の1とし,グラフ用紙上に脚部は特に詳細な図を引きます。

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 先ず「総分解図」を参照下さい。胴体もこの程度の分割で曲線は表現出来ますし、操縦席内部艤装も手を加えてやりますと面白いものです。工作ほどの個処から始めてもよいものの、脚より始めます。
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 (A)図を参照の上真鍮板又はブリキにて脚カバー、其の他を切抜き、半田にて接合致します。この場合鏝の適温も大切ながら両面を丁寧に磨き小物は手早くやらぬと熟が伝り上手く付きません、この項での要点は(イ)の 金具でこれを後述するスプリング(ヘアーピン)が挟み,脚を出した折無断で引込むのを防ぎます。巾は3mmが 適当で長さは各自定めて下さい.尚にの金具は少々厚い真鍮板を用い穴はポンチで一撃し、出来た山をヤスリですればドリルがなくとも簡単にあきます。
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 (B)項として(B図参照)主翼工作に入ります。御覧下さればお判りでしょうが,グラフ上の図面に合せ選択した紙より切抜き,脚口、補助翼、フラップもそれぞれ1切出しにて切抜きます。尚脚ロは図面より少々小さめに切抜き内側を半丸ヤスリを掛て仕上、紙繊維がケバ立ちますから指先にセメダインを付けケバを押えます、蝶型フラップも同様ヤスリ仕上の後ケバはセメダインで押えます,尚フラップの切抜は其のまま利用します。次に桁を取付けますが巽上下坂の厚さを考慮の上ボール紙等より切抜きます。配置図は()に示した如き程度で強度は充分です。この項に於いての注意は翼上坂を被せた折脚が完全に収納出来るかどうか留意して下さい。
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 (C)この項(C図参照)に於いては,A項にも製作した脚を,B項の主翼下板に装着致します。図は脚出しの折を示しますが要点はA項の金具()を挟む 《この図の()》()のヘアーピンにあります。脚を折畳んだ場合このヘアーピンが開き,一寸指先にて引出すと勢いよく飛び出します。尚脚を取付け前後の滑走で引込む様な場合はスプリング補強の意味で「ピン」を2~3本に増します。()は古い定規などのセルロイドを用いセメダインで充分接着致します。又(ロ)は前後にあるのが好ましいのですが,「キー44」の場合「キー43」と異り2°~3°ヒネッテ折畳むので(ニ)の押へでヘアーピンを充分固定致します。尚,「MelO9」とか「スピット・フアィヤー」「彩雲」などの場合も同様で,一旦ヒネッて引込ませます。注意としては,翼上板を被せた後接着の取れた場合修理不可能ですから充分セメダインを塗付して下さい。
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D)図は脚収納時を示します。(スプリングの状態に注意して下さい)
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E)フラツプの工作です。ビニールチユーブを適宜に切り,その穴にピッタリに合う計金をコの字型に曲げ()の如く作ります,()は先の切抜いたものに()の部分にヤスリを掛け()の如き紙片でビニールチューブをセメダインで充分押えます。()のビニールチューブは少しゆったりしたものを針金を通し後へのスライドを容易に致します。この針金とピニールチューブは今後の舵面可動こ用いますから留意下さい。
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F)前項のフラップを翼に装着した図を示します。()がフラップで()がビニールチューブの押えです,(ハ)は主脚で、()の部分はヤスリを掛けて置きます。注意としてセメダインが乾いた後、フラップが上手くスライドするか調べます。
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G)補助翼の製作ですが,フラップとはば同様なる製法で,この場合の紙は煙草のケースなどが適当です。先ず紙を二つ折にし図程合せて切り()の穴を切出して切取ります。次に()の如くピニールを通した針金をコの字型に曲げ()図の如く前回の穴に通します,()のポール紙法を()の如くセメダインで接着後二つ折にして接着します。「フラップ断面図を参照下さい」、尚この構造は各舵面の可動法として用います。
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H)この主翼上板が馴れる迄は厄介な個所ですが根気よく工作して下さい。()の点線で示した部分は図面よ少々余分に切抜きます。又脚収納部のふくらみと翼端は3~4個の切込を入れます,余分に切込み過ぎてもラッカーパテーで成形するので心配要りません。()は前項のフラツプで()の如く押えで翼上板の下に取付けます,下翼に取付けぬ理由は翼厚の関係で多少隙間が出来ますが上板に取付けた場合にほ目立ちません。尚前縁は紙繊維にそってペンチにて徐々に曲げます。時間を充分掛け美しく仕上げて下さい。
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lI図は前項の翼上板を今迄の翼下板に接首した図です,ここで余分を持たせた翼後緑を下翼板に合せて切り揃えます。次にラッカーパテーを取出し指先に付け切込の隙間などに塗込み、又前縁が上手く曲らなかった場合パテーを塗布して数時間放置し充分乾燥後、図の如くヤスリを掛けます。ヤスリよりもベーパーの方が滑かに仕上るかも知れません。翼端も同様美しく仕上ります。

 以上で主翼部は終了です翼下面の凸起物は最後に取付けます。

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J)次に胴体の最先端たるエンジン・カウリングに入りますが、やって見ますと簡単なものです。先ず質は悪くとも分厚いボール紙を()の如くドーナッツ形に切抜きます,図面に合せて徐々に外径を大きく致しますが、内径にも注意し,()の如くセメダインを充分乾しヤスリを掛け,内径は気化器吸気口に留意の上成形し,セメダインでケバを押へ、然る後の()境界板を取付けます。()は上下二個に分け前面に接着します,この場合上下板が動かぬ様に洗濯鋏で挟むと重宝です,()の紙片は後のカウルフラップを取付けるものです,最後にセメダインの凸凹を除く意味で軽くヤスリを掛け全体にラッカーパテーを塗りペーパーで仕上げます。
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K)前項のカウリングにぺラ回転部を挿入致さねば成りませんが、ここで一寸手を加えてイミテーシヨン・エンジンを作りこれを装着致します。()の如く紙片を切抜き細い鋼線を巻付けます,次に()の金具をメッキ線などを利用して作り,これを()の如く取付けます。回転部は真鍮板を利用して図の如く工作して下さい。()は虫ピンを使いました。()及び()は紙片でこれがカウリングの中に固定されます。(彩雲会)   
(未 完)
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出典

鳳文書林出版販売(株) 『世界の航空機』 1955年2月号 P100~P103

脚注

  1. 世界の航空機
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